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沖田(以下沖):あ、洋子さん。見ーつけた。 洋子(以下洋):げ。(ゆっくり振り返る)──ああ、何だ。沖田さんじゃないですか。 沖:そうむらさきさんの取材から逃げてきたんだって? ダメだよ、そんなことしたら。いくら斎藤さんの取材なんかごめんだからって。 洋:はーい。それで、沖田さんが代わりに取材に来たんでしょ? 沖:(苦笑しつつ)そうだよ。だからちゃんと答えて。いいね。 (二人、近くの甘味どころに入る) 沖:何でそんなに仲悪いのかなあ、洋子さんと斎藤さんは。 洋:斎藤さんが全て悪いんです。いつもいつも無茶苦茶するし、人が何か言えばすぐボカスカ叩くし。大体人が折角大人しくしてるのを敢えて挑発してキレさせる人がどこにいますか。文句言えばボカスカ、言わないと言わせる。これで仲良くなるわけがないんです、ホントに。 沖:──確かに無茶をやってるのは認めるけどね。斎藤さんがああいう性格なのは昔からなんだから、洋子さんが少しは大人になって、軽くあしらうくらいにした方がいいと思うよ。キレさせるって言っても江戸での話なんだし、最近はそうでもないだろ? 洋:そりゃ第三者がいる前では放っててくれますよ。けど、そもそも何で年少の私が年長の斎藤さんより大人にならないと行けないんですか!? その言葉、そっくり斎藤さんに叩き返しておきますからね。ガキだの阿呆だの言う相手の文句なんて聞き流せって。どうせ全然改善してくれないんだから。 沖:(ちょっと藪蛇だったかなあ・・・)いや、今のは僕の意見だってば。斎藤さんは一言もそんなこと言ってないよ。むしろ「改善しないと分かってるんだったら、最初から文句言うな」って言いそうな気がするけど。 洋:言わなかったら今頃、頭と身体がおかしくなってます!!! 言っておきますけどね、斎藤さんの部下の平隊士の中で、半年だって連続して部下やってられた人間はいないんですから。前野五郎さんだって時々島原か祇園に行って愚痴こぼして、それでやっとどうにか続いてるんですよ。大体私くらいしか、斎藤さんに文句言える人はいないんです。 沖:(──そりゃそうだろうけど)分かったよ。まあでも、手入れ中とかは庇ってもらってるんだし。そんなに仲悪くしなくてもいいんじゃないの? 洋:庇い代とか言って、酒一升おごらせられるんですよ! それも灘の、値段の張るやつ!! 全く、一度は祇園の料亭に遊びに行って、一晩の遊び代全部こっち持ちなんて目にも遭いましたからね。感謝する気にもなりませんよ、ったく。 沖:そ、そうなの? 洋:そうですよ。さすがに「今度から葵屋にする」って私が言ったら、次から酒一升で済んでますけど。──って言っても、二回しか庇ってもらった覚えはないんですけどね。二度とも緋村抜刀斎と戦ったときで。 沖:──てことは、かなり危なかったんじゃないの? 洋:(回想している)──言われてみればそうですね。間一髪って感じで…… 沖:だったら、酒の一升くらいでゴネない。まあ遊び代全部はやりすぎだけど、命助けてもらったんだから、少しは何かしなきゃ。 洋:──はーい。(運ばれたワラビ餅を口の中に入れる) 沖:ところで、お夢さん元気? 洋:元気すぎるくらい元気ですよ。家事全般きっちりこなしてくれるから、こっちが多少ずぼらでも大丈夫ですし。寺子屋でも成績いいみたいで、ほっとしてます。 沖:お夢さん、寺子屋通ってるの? 洋:私が通わせてるんですけどね。明るいうちに帰るようにすれば安全ですし、大体江戸にいたとき斎藤さんのせいで私自身は通い損ねてて、自分で教えるにしても限界ありますから。やっぱりこれからは、誰でも読み書きそろばんは出来るようにならないと。 沖:そうか。じゃあ頑張るように伝えてて。 (沖田、そこで少し咳き込む) 洋:沖田さん、大丈夫ですか? 沖:うん。心配しなくていいよ。 洋:ホントに大丈夫ですか? 去年辺りからずっとことある毎に咳してるじゃないですか。池田屋の後も別に傷はないのに寝込んだりして、実は病気なんじゃないですか? 沖:大丈夫だって。それより雲行きが怪しいから、早く帰ろう。 洋:はーい。 (二人して屯所に帰る。庭の方を覗いた途端……) バゴッ!!! 斎:阿呆が。取材をほっぽり出して、どこをほっつき歩いていた。 洋:何でいきなり木刀で頭を殴るんですか。そんな事するから、取材なんてしたくなくなるんです。大体いつも── 沖:(ダーメだこりゃ。直そうとする方が間違ってる)
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