るろ剣インターネット版同人誌

番外編エッセイ   「旅」

副題:そうむらさきのサークル生活

 つきこさまリクエスト「旅」。高級な文章ではありませんが、次から本文です。

 

 実は旅行はあまりしたことがない。別にアメリカには食指が動かない。歴史、古代文明のある国が好きで、ヨーロッパのフランスやイギリス、ドイツ(特に旧東ドイツ)、イタリア、ギリシャ、旧ハプスブルク家の支配下にあった東欧諸国に、エジプトに中国にメキシコにペルーなど、行きたい国はかなりあるのだが、する金がないというのが最大の理由だ。大学のサークル活動で時々東京や関西には行ったので、その時の思い出話でもしようかと思う。

 サークル名は「模擬国連」。まあマジメ系(という分類が実際にあるかどうかは知らないが)のサークルで、具体的には各国の外交官になりきって国連などの会議をシミュレーションするというサークルである。何か難しそう、と思われる方もいるだろうが、大学に行けるだけの英語力があれば大丈夫である(資料となる国連文書は全部英語なので、英語が苦手な人は余りお薦めしない)。
 ただ、大学に入ってまで真面目に勉強(会議の議題が安全保障から環境問題まで及ぶので)しようという奇特な人種の集団なので、まず変人ばかりである。というか「変人でないと生き残れない」サークルで、その中で三年間やってきたのだから私もかなりの変人だろう。まあ変人と言っても日本の大学生には違いないので、社会生活に支障はないと思う。


 それで、会議は主に合宿形式でする。本当の会議だとテレビで見るような各国首脳や外務大臣の演説の裏で外交官による駆け引きが展開されているのだが、「模擬」なので両者を一人ですることになり、演説原稿を書きながら休み時間中に交渉(コーカス)に駆け回ることになる。特に悪名高いのが「深夜コーカス」で、深夜チャットよろしく午前2時まで起きているのはざらである(というかそれくらいにならないと寝ようとしない)。睡眠時間が三時間、もしくは完全に徹夜ということも珍しくなく、ある時など七時起床のところを八時40分に起きてしまったこともある。
 普通の旅行、特に修学旅行の時はこういう「徹夜の翌朝」は移動時間中に爆睡するのだろうが、合宿中にそんなことができるはずもなく、まして会議終盤ともなれば自分の担当した国の利益のために必死である。当然居眠りするような不届き者はおらず、代わりに合宿終了後は疲れ果てて家に帰れば何かをやる余力もない。ちなみに私は、地元(福岡)では週末にあるこの合宿のために、月曜日の朝、一限目は何も授業を取らないことにしていた。

 東京や関西の合宿は、通例夏休み・冬休みにあって2泊3日から3泊4日である。何故か新聞の一面横文字を全部使うような大事件の発生直後にやることが多く、偶然の一致なのか神様か誰かが仕向けているのかはよく分からない。或いは変人たちが集まるというので「気の流れ」が変化して、大事件が起きてしまうのだろうか(笑)。

 台風やら雪やらが心配なので新幹線を使うのだが、怠け者の私は事前の計画的学習など無理で、その間に議題についての勉強をしている。ちなみに主に乗るのは500系のぞみで、最高速度の時速300キロに達した時にはジェットコースターもどきの浮遊感まで味わえるおまけつきの代物だ。700系のぞみも、是非一度乗ってみたいと思っている。
 さて、会議は全国から人が来るので、レベルの高いものになることが多い。私はこの会議で二回ほど「キューバ」をやったのだが、いずれの会議でも「暴走」してしまった。もともと担当した人間を「暴走」させる国ではあるようだが(苦笑)、二回目にやった時には「キケン人物」というあだ名までついてしまったほどだ。
 最後の一日は閉会式のみで終わり、二日目もしくは三日目の夜に打ち上げコンパがある。このコンパで、会議中には分からない本性がばれてしまうのはよくある話である。

 自慢ではないが、神戸でそういうことがあった際に、コンパの一次会で酒を飲んでずっこけてグラスを割って怪我をしながら、二次会で東京から先輩が持ってきた、一本数万円するワインや大吟醸の数々を飲んでいたというとんでもない人間は私である。以後そこにいた地元の先輩に「へべれけ」呼ばわりされ、酒を飲むと暴れるなどの「根も葉もない」噂が立ったのは言うまでもない(爆)。

 

 合宿前後に人の家に泊まったこともある。新撰組の壬生屯所跡を訪問したときも京都での合宿後だったのだが、他人の家を見るのは例えそれがワンルームでも楽しいものだ。たまたま泊まることになった人と好物が一緒で、二人してそれをパクつきながら夜中の三時まで喋ったりした思い出もある。別に綺麗に掃除してある必要は全くなく、ポスターなどが飾ってあった方が話の種になっていい。ただ家の中に段差がある場合、客が転けないように注意はする必要がある。私はこれで四、五回こけた。よくこける人間である。

 おみやげは買わないのが私の主義である。疲れた後におみやげの荷物は重いし、お菓子はダイエットの敵だ。親のために涙を飲んで(爆)我慢している。
 帰りの新幹線の中では、ひたすら爆睡している。東京-博多だと概ね名古屋辺りは寝て通過。京都付近で一度起き、後はその時によって様々だ。

 

 ※「模擬国連」のところにHPへのリンクが張ってありますので、興味のある方はどうぞ。

 

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